幸せになろう
人間界に迷惑をかけないように、天使達の教育も充実させるそうです。
よかったですね。幹部会は、貴方の主張を全て受け入れてくれましたよ」
エレーナは、笑顔で話す。
「じゃあ、先輩天使はどうなったの?」
「彼女たちも処分されずに済みました。これも慎一さんが幹部達に事情を話してくれた
おかげです」
「慎一は、もしかしてずっとその事を気にしていたの?」
さやかに問いかけられた慎一は、静かにうなずく。
「慎一はいいところがあるよね」
さやかが褒める。
その時、イザべラ幹部が現れた。
「ルーシーのことでは、慎一にいろいろと迷惑をお掛けしました。
指導者の一人としてお詫び申し上げます。
貴方の言う通り、天使と人間のずれは埋めなければなりません。
私達は、これからも貴方との良好な関係を期待します」
「イザベラ幹部、貴方なら分かってくれると思った」
慎一は、あの時天上界まで行って良かったと思った。
「エレーナ、貴方は良き契約者に恵まれましたね」
そう言ってイザべラ幹部はほほ笑んだ。
「はい、慎一さんはいいところがたくさんあります。いろいろと気遣ってくれますし」
「これからも助言して下さると助かります。また何時でもいらっしゃい」
イザべラ幹部は、慎一にそう言い残し、静かに消えた。

 それから世間知らずの天使は来なくなった。
契約相談に来る天使達は、家に入る時も、玄関から普通に入って来るようになった。
イザベラ幹部がきちんと指導してくれているんだろう。
天使と人間、その違いから生じる感覚のずれは、徐々に修正されていくだろう。
そして、いつか必ず本当の意味の信頼関係が築けると、慎一は信じている。


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