命冥加の妖



チリンチリン…


『ん……』

目を覚ますと辺りは闇。

『どこだここ…』

チリンチリン…

微かに聞こえる鈴の音。
その音はこちらに近づいてきてるようだ。
どこから来てるのかわからない。
左も右も上も下もわからない闇。


「……待ってるから……」

後ろから声がする。勢いよく振り返ると何かがたっている。

(人…?いや…人間じゃない………)

何故だか知らないが僕はそう思った。

「……待ってるから……」

僕は返事を返してみた。

『……なっ何を待つんですか?』

声の主は返事が返ってくると思わなかったのか少しの間沈黙が続く。

「………のを…」

聞き取れない。

『あのっ………あ………』

もう一度尋ねようとした。
僕は言葉を失った。その"者"の足元に写るのおびただしい動物の死体。頭のないもの、足のないもの。
不思議だが鮮明に見えた。闇の中鮮明に見えたんだ。
その"者"の手元を見れば日本刀。血液がしたたり落ちている。
日本刀を左から右に持ち替えこう言い放つ。

「「お前が死ぬのを待っている」」

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