クリムゾンフレイヤ

が、食後のあとで追い掛ける気もないスカーレットは、足を下ろして肩をすくめた。


「自意識過剰とかは別にして、アンタが何かしたら全部町長さんに言うから、大丈夫よ」

「何が大丈夫なんだよ……」


腕を組んで自信たっぷりに言い放つ少女に対し、グラガは半泣きで首を垂れる。

人間こんなにも信じてもらえないものなのだろうか……。

青年の溜め息が、より深いものになる。


「もう遅いかもしれないけど、一応焚き火は消す? 夜は寒いけど、モンスターとか盗賊の目印になるし」

「消すならおまえが寝たらにしろよ。俺は寒いのに慣れてる」


スカーレットに対しての小さな親切を、グラガは自信気に呟いた。

が、少女は「あっ、そう?」とだけ言い、そのまま礼も何もなかった。


グラガ自身、期待などしてなかったが、やはり寂しいものだ。


(なんでこんなに人を信じたりしないんだ……?)


俺が町で変なこと言ったからか? などと色々考えるが、そんなに嫌われることは言っていない……つもりだ。


(聞くに聞けねぇし……)


焚き火の前で服を乾かしながら、若干ウトウトするスカーレットを横目に、グラガは身体を起こした。




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