春•夏•秋•冬の彼等
「…ねぇ秋人」


麻冬だって、恋をする。


「んー…」


秋人は眠そうに目をこすりながら虚ろな返事をする。


「良いの?春樹と夏実」


意味深長な言葉。

秋人は麻冬の方をじっと見て、そして
「なにが?」と言った。

麻冬は分かってるくせに…とポツリと言う。

聞こえたのか聞こえてないのか、秋人は珍しく起きてるものの何も答えなかった。

少しの間を置いて、秋人はバスケをやってる人たちを見ながら言った。


「お前はどうなんだよ」
「あたしは…好きな人なんていないもん」
「ふーん」


麻冬だけが知るもの。

麻冬にしか知らないもの。



みんなそれぞれの想いを背負いながら、一緒にいる。

例えそれがどんなに辛いものだと分かっていても…

< 10 / 13 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop