春•夏•秋•冬の彼等
春樹は人なつっこい性格でクラス中から好かれていたし、夏実は入部早々エースの座に上り詰めた。

秋人は入試トップで入学式に新入生のあいさつをした。
麻冬はその可憐な容姿で高嶺の花。


4人のクラスはバラバラだった。

当然お互い顔見しりってわけでもなかったのだが、あることがきっかけで知り合ったのだ。







『こら!なんだその髪は!』


入学式から1ヶ月くらい経った頃、夏実は髪の色を茶色にしたことで教師に呼び止められていた。


『だってセンセ、これが一番気合い入るもん。中学んときもこれだったし』


受験のときだけ黒くしていた夏実は、そろそろと思い髪をもとに戻した。

当然校則違反なわけだ。


こんな夏実でもクラスの男女からは好かれてるわけであって、たいていはこういう場面に出くわしてもみんなが助けてくれた。

しかしそのときに限っては人気のない渡り廊下で、ほとんど人が通っていなく夏実を庇ってくれる人はいない。


『エースだかなんだか知らんが、調子に乗るもの大概にしろ!』


さすがに慣れている夏実はハイハイとソラ返事をしながらよそ見をする。

それが教師のカンに更に触るわけだが、ちょうどそのとき1組の櫻井春樹がジーっと夏実のほうを見ていることに気付いた。
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