春•夏•秋•冬の彼等
『…?ん?なに?』
まだ友達にもなっていない頃のこと。
春樹は嬉しそうに『わー!海野夏実ちゃん近くで見るの初めてー!!』とニパッと笑った。
いかにも春樹らしい。
『あたしのこと知ってるんだ?』
『うん!3組だよね?』
『あたしも知ってるよー。1組の櫻井くん』
『やーった!』
なにが「やった」なのか分からないが、とりあえず春樹は無邪気に喜んだ。
と、そのとき自分のことを忘れて会話に花を咲かせていた2人にかなり怒っていた教師が今度は春樹に向かって言った。
『おい櫻井!お前もいつになったら制服着てくるんだ!』
春樹はネクタイをつけてブレザーを着ることはなく、常にパーカーを着ている。
その日は黄色のパーカーを着ているせいで余計に目立っていた。
『だって俺ブレザー似合わないもん』
155センチくらいしかない春樹には、ネクタイとブレザーという組み合わせは似合わないらしい。
春樹に比べて夏実はというと、バレー部にしては小さく165センチほどだ。
エースがそんなに小さいのかと疑問だが、夏実は小さい代わりに誰よりも高く飛ぶ。
『そんな理由が許されるか!』
2人がそろってしまったことで教師の怒りはさらに高まる。
どなり声に何だ何だと少しずつ人が集まってきた。
その後もしばらく口論していると、麻冬が現れた。
『先生、その辺でもう良いでしょう』
まだウェーブの髪をしていない頃の麻冬だ。
見た目は可憐で美しく大人しそうだが、実際にはそんなことはない。
きれいなのは事実だけど、実はかなりの強者だったりする。
『2人にあなたがこれ以上言っても無駄よ。白髪染めしてるあなたが生徒の茶髪を注意しても説得力あるかしら』
『お前は…5組の雪原だな』
『そうよ。あまり怒ると血圧が上がってハゲますわよ。その白髪染めは偽物だってみんなに知らせた方が良い?』
フフッと笑っているようで、チラッと教師を見ながら悪魔のような笑みを浮かべる。
ポカンとあいた口がふさがらないでいる春樹と夏実をよそに、麻冬はまだ何か教師に言おうとしていたが、彼がそれを止めた。
『それくらいにしておけ。生徒に注意するのが教師の役目なんだ』
7組の月影秋人、寝坊・居眠り常習犯の成績優秀人間だ。
ちょうど移動教室をする際に3人と教師がいるのを見つけ、よってみただけ。(つまり興味を持っただけ)
『あ!7組の月影!』
そう叫んだのは夏実だった。
『あ。えーと…確か女子プロレスの岩波…?』
『誰がプロレスラーじゃボケー!!!』
夏実は本気で秋人にチョップをかました。
寝ぼけている秋人はよけきれずモロにそれをくらった。
『3組の海野さんよね。そっちは1組の櫻井くん』
『俺らのこと知ってるんだ!君は5組の雪原麻冬ちゃんだよね』
4人そろったのは、このときがはじめてだった。
それまでは話したことすらなかった。
話に盛り上がる4人に、教師は入っていけなくなったのかソソクサとどこかへ逃げてしまった。
『あー、俺移動教室だった』
『ちょー待ちなさいって。せっかくだしアンタも一緒に話そうじゃん。月影秋人』
『え〜…』
入学からわずか1ヵ月後のことだった。
もともと有名だった4人だけど、4人そろえばその迫力はすさまじいものだった。
4人が一緒にいるところを見にわざわざ人が集まってくるほどだ。
学年の廊下の真ん中でやっていたわけでもないのに、みんな遠いのにわざわざ次の授業に遅刻しても良いと言わんばかりに物珍しいもの見たさにどんどん集まってくるのだ。
誰しもが口々に言う。
すげぇ…なんちゅー奴らが集まってるんだ、と。
あの4人が集まるなんて…と感嘆の声を漏らす人さえいる。
それほどに有名な人たちが、今まで話したことがない方が不思議だ。
4人が仲良くなったのは、これがきっかけだった。
まだ友達にもなっていない頃のこと。
春樹は嬉しそうに『わー!海野夏実ちゃん近くで見るの初めてー!!』とニパッと笑った。
いかにも春樹らしい。
『あたしのこと知ってるんだ?』
『うん!3組だよね?』
『あたしも知ってるよー。1組の櫻井くん』
『やーった!』
なにが「やった」なのか分からないが、とりあえず春樹は無邪気に喜んだ。
と、そのとき自分のことを忘れて会話に花を咲かせていた2人にかなり怒っていた教師が今度は春樹に向かって言った。
『おい櫻井!お前もいつになったら制服着てくるんだ!』
春樹はネクタイをつけてブレザーを着ることはなく、常にパーカーを着ている。
その日は黄色のパーカーを着ているせいで余計に目立っていた。
『だって俺ブレザー似合わないもん』
155センチくらいしかない春樹には、ネクタイとブレザーという組み合わせは似合わないらしい。
春樹に比べて夏実はというと、バレー部にしては小さく165センチほどだ。
エースがそんなに小さいのかと疑問だが、夏実は小さい代わりに誰よりも高く飛ぶ。
『そんな理由が許されるか!』
2人がそろってしまったことで教師の怒りはさらに高まる。
どなり声に何だ何だと少しずつ人が集まってきた。
その後もしばらく口論していると、麻冬が現れた。
『先生、その辺でもう良いでしょう』
まだウェーブの髪をしていない頃の麻冬だ。
見た目は可憐で美しく大人しそうだが、実際にはそんなことはない。
きれいなのは事実だけど、実はかなりの強者だったりする。
『2人にあなたがこれ以上言っても無駄よ。白髪染めしてるあなたが生徒の茶髪を注意しても説得力あるかしら』
『お前は…5組の雪原だな』
『そうよ。あまり怒ると血圧が上がってハゲますわよ。その白髪染めは偽物だってみんなに知らせた方が良い?』
フフッと笑っているようで、チラッと教師を見ながら悪魔のような笑みを浮かべる。
ポカンとあいた口がふさがらないでいる春樹と夏実をよそに、麻冬はまだ何か教師に言おうとしていたが、彼がそれを止めた。
『それくらいにしておけ。生徒に注意するのが教師の役目なんだ』
7組の月影秋人、寝坊・居眠り常習犯の成績優秀人間だ。
ちょうど移動教室をする際に3人と教師がいるのを見つけ、よってみただけ。(つまり興味を持っただけ)
『あ!7組の月影!』
そう叫んだのは夏実だった。
『あ。えーと…確か女子プロレスの岩波…?』
『誰がプロレスラーじゃボケー!!!』
夏実は本気で秋人にチョップをかました。
寝ぼけている秋人はよけきれずモロにそれをくらった。
『3組の海野さんよね。そっちは1組の櫻井くん』
『俺らのこと知ってるんだ!君は5組の雪原麻冬ちゃんだよね』
4人そろったのは、このときがはじめてだった。
それまでは話したことすらなかった。
話に盛り上がる4人に、教師は入っていけなくなったのかソソクサとどこかへ逃げてしまった。
『あー、俺移動教室だった』
『ちょー待ちなさいって。せっかくだしアンタも一緒に話そうじゃん。月影秋人』
『え〜…』
入学からわずか1ヵ月後のことだった。
もともと有名だった4人だけど、4人そろえばその迫力はすさまじいものだった。
4人が一緒にいるところを見にわざわざ人が集まってくるほどだ。
学年の廊下の真ん中でやっていたわけでもないのに、みんな遠いのにわざわざ次の授業に遅刻しても良いと言わんばかりに物珍しいもの見たさにどんどん集まってくるのだ。
誰しもが口々に言う。
すげぇ…なんちゅー奴らが集まってるんだ、と。
あの4人が集まるなんて…と感嘆の声を漏らす人さえいる。
それほどに有名な人たちが、今まで話したことがない方が不思議だ。
4人が仲良くなったのは、これがきっかけだった。