夏の月夜と狐のいろ。



「なっ・・・!?」



クロがじろっとこちらを睨みつける。


「つまりそれは、僕がチビだと言いたいのか・・?」


シアンはもう一度クロをじろじろと見た。

初めて会ったときから幼い感じだとは思っていたが、よくみると本当に少年、といった感じだ。


12歳くらい、かな?


確かシロも12歳くらいの少年で、身長もそんなに高くない。


だから、シアンはこくりと頷いた。


「うん、チビよ」


シアンがさらりとそれを認めるとクロはムキになってノエルを持ち上げようとノエルの腕を引っ張った。


「僕はチビじゃない!」


だが、ノエルは見た目17歳くらいで、わりと高身長でどう考えたって無理そうだ。



シアンがじーっと見守っていると、ノエルの下敷きになってクロが転んだ。




「ね、無理でしょ。一緒に運ぼうよ」



シアンのなだめにクロは不満そうだったが、結局ノエルは二人で運ぶことになった。
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