夏の月夜と狐のいろ。


湖につくと、シアンは湖の中にうつる自分を見た。


そこにうつっていたのは、輝くばかりに綺麗な銀髪と
青い瞳をもつ少女。


髪よこにたれた毛をわっかにしてむすんでいるのが自慢だ。


頭の上にはちょこんと、これもまた銀髪の綺麗な
逆三角形をした耳がのっている。



くるっとまわってみせると、後ろには自慢の尾がふわふわきらめいた。


九本はえた、銀色のそれは宝物だ。



シアンは、森の中でも二匹しかいない、九尾の狐だ。

最近は人間に化けられるようになり、よくこの姿で居る。



するとたちまちお父様からお咎めをうけるのだ。


"人間に見られたらどうするのだ"といつも。



この、狐の森に人間が入ってくるなんて、そんなことありえないのに。


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