夏の月夜と狐のいろ。



シアンはビリビリとしびれるような痛みにはっと目を開けた。


目を開けるとまぶしいライトが輝いていて、
シアンは驚いて目をそむけた。


後頭部がズキズキと痛い。


さっきラシッドに引きずられているときに
階段で頭をぶつけ、気絶したのだ。



そしてその後頭部の痛みとは別に、頭の側面から
ビリビリししびれる痛みを感じる。



シアンは首をめぐらせて辺りを見た。



ここは、はじめてこの場所にきたときに見た研究室のようだ。

そして、頭には重いヘルメットのようなものがつけられている。


「いたっ・・・?」



もっとよく様子を見ようと体を起こそうとして手足に痛みを感じた。



拘束されているらしい。



シアンはあきらめてため息をつく。



このまま、クロがいってたようなことをされるの?


そう思うと急に恐怖でシアンの尻尾がびくびくと膨らんで手足が震えた。


逃げないと―・・・


シアンはガチャガチャと拘束具をゆらし
痛むのも気にせず手足を動かした。

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