夏の月夜と狐のいろ。
クロが、びくりとして視線をめぐらせる。
すると反対側の入り口から白い塊が飛んできた。
それは、思い切りクロの狼のものへとかわった腕にかみつく。
「シロ・・・!」
クロは血を流しながら苦しげにうなり、後ろへ後ずさった。
半分人間のような、狼のような姿をしたクロの前に
同じような姿をしたシロがラシッドを守るように立ちふさがる。
「どう、して・・・・」
シアンは、かすれるような声で呟いた。
喉も、やけるように痛かった。
その質問にシロは答えない。
かわりに腕の血をぬぐいながらラシッドが答えた。
「当たり前だ。シロの人格は消えたが、俺の言うことをきくように
改ざんした人格はシロの中に入っているんだからな!」
シアンは、クロの言っていたことを思い出した。
(自分の言うことを完全にこなすように改ざんして僕たちの人格をクローンにうつすよう準備した―・・・)
ラシッドは、にやりと笑う。
「こいつは俺の言うことには絶対刃向かわない。
クロの求めるシロはもう死んだんだからな!」