蛍色
思わずふっと笑ってしまった


それから俺はお昼に誘った。


注文の品がくるまで俺たちは話をした。
「そういえば、ゴーヤくんには彼女とかいないの?」


この質問はキツかったな……


いるわけないじゃないですか…。


ずっと勉強ばかりしてきたんですから。


けど、あなたの興味津々な眼差しを見て笑ってしまった。


「初恋もまだ…って言ったら変ですか?」

嘘。


本当はしてる。


「えっ!!ウソ!」


嘘ですよ。


「本当ですよ」


嘘です。



「カッコいいのに?」


「ありがとうございます。それに、俺如月大学に入るために勉強ばかりしてましたから」



「そっか…でもきっと良い人見つかるよ!」



「……そうですね。」


本当に、そうですね…。


俺はあなたに出会ってしまった。


そしてあなたに恋をしてしまった。


でも、きっと俺はこの想いを伝える事はない。


できない。


俺は見てしまった。


あなたの指に結婚指輪があること。
< 33 / 69 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop