RUBY EYE

「念のためだ」

「・・・・・・綾織くんは?」


顔が離れると、月野は視線を十夜へ戻した。


「俺は行くに決まってるだろ。ひとりで大丈夫か?」

「花村さん達もいるわ」


それに、病人というわけではない。

月野は見送ろうとしたが、十夜は寝てろと言って、部屋を出ていった。


(・・・・・・どうして、キス・・・・・・あぁ、ダメ!)


思い出すと、恥ずかしさで死んでしまいそう。

月野はベッドに潜り込み、思考を遮断することにした。










「十夜! あれ、月野ちゃんは?」


学校に着いたところで、十夜に明るい声をかける鷹斗。

その後ろには愛理もいて、十夜を見つけると笑顔で駆け寄った。


「まるで犬だな」

「うるさい。・・・・・・あの雑種は? 襲われた、って聞いたけど」


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