RUBY EYE

情報が行き交うのは早い。

十夜はため息を漏らしながら、教室に向かって歩き出す。


「念のため、今日は学校を休ませるよう、美鶴さんに言われてる」

「そう・・・・・・。怪我とか、したの?」


愛理の言葉に、鷹斗が楽しそうに笑っている。


「そんなに気になるなら、帰りにお見舞いに行こうぜ」

「鷹斗」

「いいだろ、別に。それに、月野ちゃんを襲ったのは、ガキとはいえ香堂に連なる者だ」


詳しく話さないにしても、月野の顔を見ておきたい。

鷹斗の真意に気づいたのか、十夜はそれ以上、何も言わなかった。





教師の教科書を読む声を聞きながら、十夜は空席の隣を見た。

本来なら、鷹斗や愛理と同じように、十夜も特進クラスにいるはずだった。

けれど、美鶴の配慮で月野は特進クラスではなく、普通のクラスに転入した。

それに伴い、十夜も今年は特進クラスではない。


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