RUBY EYE
手が、洗ったばかりのナイフに伸びる。
「そんなに殺意を剥き出しにしないでほしいな。今日は、大切なことを教えにきたんだ」
「大切なこと?」
椿が振り返ると、静貴が距離を詰めてきた。
「浦部が逃げ出したそうだよ」
「浦部? ・・・・・・!」
思い出し、椿はキッチンを出ていこうとする。
そんな彼女を、静貴が引き止めた。
「離して。美鶴様や月野ちゃんに教えに行かないと」
「彼は、咎堕ちしてる。見つけたら、手段を問わず始末しろ、と綾織の当主殿からのご命令だよ」
椿の手を離し、静貴はキッチンを出ていく。
「・・・・・・解せないわ」
静貴の行動の真意が読めない。
教えに来たのは、単なる善意なのか・・・・・・。
それに、何故、綾織が身柄を預かる浦部について、彼は知っているのだろう?
音無の当主である美鶴に情報が行く前に、どうして彼が知っているのか。