RUBY EYE
「ふ〜ん・・・・・・あなたがねぇ」
品定めをするかのように、女の子は月野の上から下までじっくりと観察する。
「えっと、音無 月野です」
「私は桐条 愛理よ」
自信に満ち溢れる自己紹介に、ちょっと戸惑いを隠せない。
「終わったなら行くぞ。クラス発表まで時間がないんだ」
懐中時計を取り出して、十夜はため息を漏らす。
「クラス発表なんて見なくても、私達は決まってるじゃない」
「生憎と、俺は今年“特進クラス”じゃない」
「特進クラスじゃない、ってどういうこと?!」
詰め寄る愛理を無視して、十夜は月野を見た。
「行くぞ、月野」
「え? ま、待って!」
手を取られ、月野は強引に走らされた。
その背後からは、愛理の叫び声が聞こえていた。
教室の扉の前で、月野は深呼吸を繰り返す。
「大丈夫か、音無?」
「だ、大丈夫ですっ」