RUBY EYE
心配する担任に笑顔を向けて、月野は覚悟を決めた。
「転校生を紹介するぞ」
「お、音無 月野です。よろしくお願いします!」
自分に集まる視線が、逃げ出したい衝動を掻き立てる。
「席は・・・・・・っと、あそこだな」
先生が指差す先には、見覚えのある顔。
「綾織の隣だ」
「は、はい」
月野は早足で、1番後ろの席に座る。
「同じクラスって、知ってたの?」
小声で話しかけると、十夜は横目で月野を見た。
「昼休みに、校内を案内してやる」
月野の質問に答えないまま、十夜を黒板に視線を移した。
(・・・・・・でも、ちょっと安心した)
やっぱり、知ってる人がいると、気持ち的に楽だ。
そのことだけは、素直に感謝しておこう。
昼休みになり、十夜は宣言通り、校内を案内してくれた。
ただ、周りの視線が集まり過ぎて、いたたまれない。