RUBY EYE

心配する担任に笑顔を向けて、月野は覚悟を決めた。


「転校生を紹介するぞ」

「お、音無 月野です。よろしくお願いします!」


自分に集まる視線が、逃げ出したい衝動を掻き立てる。


「席は・・・・・・っと、あそこだな」


先生が指差す先には、見覚えのある顔。


「綾織の隣だ」

「は、はい」


月野は早足で、1番後ろの席に座る。


「同じクラスって、知ってたの?」


小声で話しかけると、十夜は横目で月野を見た。


「昼休みに、校内を案内してやる」


月野の質問に答えないまま、十夜を黒板に視線を移した。


(・・・・・・でも、ちょっと安心した)


やっぱり、知ってる人がいると、気持ち的に楽だ。

そのことだけは、素直に感謝しておこう。










昼休みになり、十夜は宣言通り、校内を案内してくれた。

ただ、周りの視線が集まり過ぎて、いたたまれない。


< 20 / 403 >

この作品をシェア

pagetop