RUBY EYE
十夜にトレーを押し付けて、椿はひらひらと手を振る。
「十夜くんも、椿さんには勝てませんね」
「何の用でしょうか、静貴様」
声のトーンが、あからさまに低くなる。
静貴は苦笑しながら、椿の前に移動した。
「襲撃にあったと聞いたので、様子を見に来たんですよ」
「そう。仕事があるので失礼します」
疑いが晴れない。
静貴を見る椿の目は、いつだって疑惑に満ちていた。
自分のベッドですやすやと眠る月野を見て、十夜は微笑む。
首筋のガーゼを見ると、胸が苦しくなるが。
「・・・・・・」
十夜はトレーを手に、部屋を出た。
彼女が起きたら、また持ってこよう。
今度はカップを2つ用意して、一緒にお茶を飲もう。