RUBY EYE

(さよなら。私の―――初恋)


愛理は目を閉じて、心の中で呟いた。

涙はもう、流さなかった。


夜の海のように、深くて暗くて、けれど穏やかな場所に、初恋を大事に仕舞って。

今度は、あたたかくて優しい友情を取り出すの。


波の音が眠りを誘う。

明日は倒れるまで遊ぶから、覚悟してて。

そんな思いを胸に、月野の手を握りしめた。


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