RUBY EYE
ゾワリと、全身に走るのは纏わり付くような悪寒。
心配そうな浦部を、怖いと感じてしまい、月野は後ずさる。
浦部の雰囲気が微かに変化したことを、月野は全身で感じていた。
「もうすぐ昼休みも終わりますし、失礼しますね―――!」
立ち去ろうとする月野の手を、浦部が素早く掴んだ。
熱い浦部の手に、月野は恐る恐る顔を上げる。
「あまり顔色が良くないみたいだ。休んでいくといい」
口調は優しいが、目が笑っていない。
まるで、獲物を狙う飢えた獣のような目だ。
「だ、大丈夫です。ご心配なく!」
手を振り払おうとしたが、ぴくりとも動かない。
浦部は細い体つきをしているのに、予想外にも力が強い。
(・・・・・・ホントに保健医として心配して言ってくれてるなら、逃げるのは良くない、よね?)
鼓動は早まるが、頭の中は未だ冷静さを保ち続ける。