RUBY EYE

(やだやだやだやだっ。助けて―――!)


堪えていた涙が、一筋、頬に伝う。

唇を噛み締めると、微かに血の味がしたけど、痛みなんてわからない。


怖い!
怖い!!
怖い怖いっ!!!


浦部の尖った歯が、首筋に突き刺さる、その直前。


月野の視界を覆ったのは、黒くて暖かい、闇だった―――。


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