RUBY EYE

「は、離し・・・・・・ッ」


首筋を舐められ、ふと動きを止めた浦部と目が合う。


(何? 目が、赤い・・・・・・?)


浦部の目は、黒だった。

なのに、今見る浦部の目は、血のように真っ赤だ。


―――怖いっ。


これは、捕食者の目だ。

月野は恐怖に震えながらも、声を上げようと口を開く。


しかし、月野が悲鳴を上げる前に、浦部が行動を起こした。

浦部の歯が、月野の柔肌をなぞる。

痛みはないが、背筋にゾワッと悪寒が走る。


(歯が、尖ってる・・・・・・?)


チラッと見えたのは、多分、犬歯だと思う。

月野も多少尖っているが、浦部の尖りかたは異様だ。

まるで、物語に出てくる、血を吸う化け物のようだ、と思った。


「・・・・・・僕が初めて、君に傷をつけるんだね」


規則性のない荒い息に、月野は抵抗を激しくする。


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