RUBY EYE
薔薇の香りが、思考を狂わせる。
何を言えばいいのか、月野にはわからない。
わかるのは、目の前の祖母が、とても苦しげで、悲しそうだということだけ。
「私を救ってちょうだい、月野」
お願いね、と言って、祖母の手は自分の頬から離れた。
美鶴が立ち去ると、月野は力無く、その場に座り込んだ。
石畳が、冷たい。
(ヴァンパイア・・・・・・殺して・・・・・・?)
頭の中に収まり切らない、非現実的な情報。
月野は、何から考えればいいのか、わからずにいた。
―――コツ・・・・・・ン。
石畳を叩いたのは、十夜の足音。
月野は振り返らず、小さな声で問うた。
「本当・・・・・・?」
「そうだな、本当だ」
落ち着いた声に、月野はこれが現実だと知る。
これは、漫画や映画の中じゃない。
自分が今生きてる、現実だ。