RUBY EYE
ふたりに頭を下げて、月野は十夜の後を追う。
「俺、本気で月野ちゃん狙おうかなぁ」
鷹斗の言葉に、愛理が訝しげな視線を向ける。
「やめなさいよ。あの子が」
「可哀相? 意外と優しいよな、愛理って」
愛理だって、月野が美鶴に突き付けた“願い”を知っている。
それを思えば、同情してしまうのは当然で。
「さぁて、帰るか。これからデートなんだ」
「最低」
愛理は冷たく言い放ち、さっさと図書室を出ていく。
その後を、鷹斗が笑いながら追いかけた。
紅玉館のお風呂は大きい。
大人ふたりは、余裕で入れると思う。
「許婚かぁ」
確かに、十夜と愛理は美男美女でお似合いだ。
それに、ヴァンパイア同士だし。
(そういえば私、お父さん達に何も聞いてない)