RUBY EYE

ふたりに頭を下げて、月野は十夜の後を追う。


「俺、本気で月野ちゃん狙おうかなぁ」


鷹斗の言葉に、愛理が訝しげな視線を向ける。


「やめなさいよ。あの子が」

「可哀相? 意外と優しいよな、愛理って」


愛理だって、月野が美鶴に突き付けた“願い”を知っている。

それを思えば、同情してしまうのは当然で。


「さぁて、帰るか。これからデートなんだ」

「最低」


愛理は冷たく言い放ち、さっさと図書室を出ていく。

その後を、鷹斗が笑いながら追いかけた。










紅玉館のお風呂は大きい。

大人ふたりは、余裕で入れると思う。


「許婚かぁ」


確かに、十夜と愛理は美男美女でお似合いだ。

それに、ヴァンパイア同士だし。


(そういえば私、お父さん達に何も聞いてない)


< 72 / 403 >

この作品をシェア

pagetop