エレーナ再びそれぞれの想い
エレーナは、新天上界のマリアンヌを動かす自信がない。
「確かに、貴方達には重すぎる任務である事は、分かっています。
たとえ交渉に失敗しても、貴方達が責めを受けることはありません。
安心して何度でも、諦めずに交渉して下さい」

 エレーナはさやかを連れ、再び新天上界へ向かった。だが、
「何度来てもらっても同じ。私の気持ちは変わらない。どうか御引き取り願いたい」
マリアンヌは、交渉を頑なに拒み続けた。
「規則は変えられないかもしれません。
でも、青年を救えず、貴方と絶縁状態になった事に、エレガンス幹部は深く心を痛めています。
あの方は、貴方の気持ちを理解しています」
エレーナは、エレガンス幹部が誰よりもマリアンヌの気持ちを理解していると訴えた。
エレーナを通して伝えられたエレガンス幹部の本当の気持ちに、マリアンヌの心は一瞬揺らいだ。
しかし、彼女は、
「もう、帰って!」
エレーナ達を追い帰した。
マリアンヌのかたわらで、ずっと、交渉の行方を見守っていたシオミ・クレハ・グランチェスタ。
エレーナ達が帰った後、マリアンヌにこう言った。
「本当に、あれで宜しかったのですか?」
エレーナの話しを聞きながら、表情やしぐさなどから、マリアンヌの微妙な心の変化を読み取り、彼女の気持ちが揺れていると感じ取ったシオミ。
マリアンヌは、彼女の問いかけに何も答えなかった。
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