エレーナ再びそれぞれの想い
シュウは、エレーナ達と共に大広間に案内された。
そして上座は、マリアンヌが座っている。
「あの方ですよ」
シオミが、小声で教えた。
エレーナ達に気づいたマリアンヌ。
懲りもせず、またしつこく交渉に来たかと深いため息をついた。
マリアンヌは、4人を見渡した。シュウを見つけるなり、
「あっ、また一人増えている」
そうつぶやいた。
最初の交渉はエレーナ一人だった。2回目からは、さやか、そして3回目からはプリシラと、回を重ねるごとに、天上界側の交渉人数が増えていった。
「数で圧倒しようって訳ね。今度は誰を連れて来たのというの!」
マリアンヌは、シュウをじっと見た。
そして、
「貴方は人間。いや、幽霊じゃない! 一体天上界は何を考えているの!
これは、私に対する当てつけ?」
マリアンヌは、声を荒らげた。
天上界の幹部達が懸念していた事が真っ先に起こった。
「違います。ここに来たのは僕の一存で、天上界の命令ではありません。
今日は、貴方と話がしたくてここに来ました」
シュウは必死で答えた。
マリアンヌは、エレーナ達をジロリと見ると、シュウに念のため、確認の質問をした。
「貴方は、この天使達の契約者か?」
「はい」
「まさか、人間の契約者、しかも幽霊が、天上界の巨大樹を助けてくれとか言いに来たのではないでしょうね?」
マリアンヌはシュウを睨みつけた。
「天上界は今、危機的な状況なのです。このままでは、エレーナさん達も皆死んでしまいます。お願いです。どうか力を貸して下さい。
ここにある巨大樹と同じ植物は、天上界の物より若く、生命力があると聞いています。
それを、分けていただけませんか?」
だがマリアンヌは、
「天上界のも、うちにあるのも、元々は、人間界にあった植物よ。
そんなに欲しけりゃ、人間界を探して!」
と、交渉に応じない。
「それが、人間界では気候の変動などで、遥か昔に絶滅しているんです」
エレーナも必死で頼み込む。
「マリアンヌさんは、自分をかばって負傷した青年を、天上界が規則を理由に助けなかった。その事が許せないんですよね」
「だから何!」
シュウは、マリアンヌとじっと向き合った。
マリアンヌも、シュウの眼をじっと見た。
「この眼は何なの。私をこんな風に見つめて。それに、この眼、何かが違う。
私が今まで会ってきた他の誰とも。こいつは一体!」

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