エレーナ再びそれぞれの想い
「歴史が変わりそうな所は、修正すれば、いくらでも解決できるわ!」
だが、この考えには大きな欠陥があった。マリアンヌはそれに、全く気づいていない。
「それは、途方もない大変な作業ですよ。
確かに、シュウの過去は全て分かっていますから、ある程度修正がきくかもしれません

でも、修正で予想外のアクシデントが起こったらどうしますか?
それに、昨日までの過去はどうにかうまく修正出来ても、シュウが生きている限り、未
来もあるんですよ。貴方は、シュウや周りの人々の未来にまで、責任が持てますか?」
エレガンス幹部は、丁寧に問題点を指摘した。
だが、マリアンヌは反論を続けた。
「エレガンス幹部の言いたい事は分かったわ。でも、貴方にそんな事を言う資格がある
と言うの!
契約者を幸せにするどころか、不幸な死に方をさせ、しかも幽霊になってこの世をさま
よっているというのに、そんな者に対してまで協力を強いている。
シュウは幽霊になってまで、親の死に直面した。死んでからも次々不幸がシュウを襲
う。
それに対し、貴方達は何をしてきたの? シュウに対しあまりじゃない。
142年前だってそうだった。契約者に対しあまりにもひど過ぎる仕打ちよ。
天上界存続のためなら、何をやってもいいと言うの! 私は、天上界を許す訳にはいか
ない!」
エレガンス幹部は、静かにこう言った。
「シュウは、エレーナ達を失いたくないとの想いから、自分の意志で天上界への協力を
決めました」
「だからといって、どうしてシュウや他の幽霊じゃなければならないの?
さらに、宮原さやかとか、元人間の生まれ変わりの天使達まで、人の心が残っているか
らと言って、天上界存続のための犠牲にしようとしている。
そこまでしなくても、人の想いがあるでしょう。人々が天上界存続への想いを強めれば
、救えるわ。
第二次世界大戦以前生まれの天使達は皆、しょっちゅう戦争で人が死んでいたため、人
の想いの大切さというものを知っていた。
人間は、戦争で犠牲が増えれば、家族や友人などに対する想いをより強くする。
その想いは純粋で、清らかな心にも劣らない。
戦後、日本も西側諸国も平和になり、人は強い想いを持つ事はあまりなくなった。
戦後生まれの新しい天使達は、想いというものを知る機会があまりなかった。
ならばなぜ、新しい世代に、想いの大切さを教えてこなかったの?」
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