エレーナ再びそれぞれの想い
そう語るエレーナはどこか寂しげで、憂い帯びた瞳は遠くを見つめる。
「それって、宮原慎一さんですか?」
「ええ、私の恋は終わっちゃったけど、シュウ君はまだまだ、これからです。
私、シュウ君を応援します」
夜風が吹いてきて、エレーナの長い髪をそっとなびかせた。
エレーナは微笑んでいた。
だが、その瞳は涙目になっていて、いつ、滴がこぼれ落ちてもおかしくない。
自分の気持ちと相反する、自らの口をついて出た言葉に、エレーナ自身が一番驚いていた。
エレーナは、今すぐシュウを抱きしめ、自分の気持ちを伝えたかった。
エレーナはシュウに気づかれないように、そっと泣いたのだった。
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