【中編】ビケトリシリーズ【エターナル・フレンズ】 ~出逢いと始まり~
どういう訳か俺はあの時の記憶が曖昧だ。

佐々木を追いかけて森へ入ったのは確かだが、そこから先がパズルのピースのように断片的にしか覚えていない。

だが、暁が佐々木の手を取った瞬間光が溢れて全てが無になったのは確かだ。

俺の中から今まで苦しかった思い出が薄らいでいって、心が軽くなったのも覚えている。

あの光のせいだろうか。

…今は自分が今まで何に苦しんでいたのかが良く分からない。

誰が何を言おうと良いじゃないか。

この瞳も髪も俺が顔さえ知らない母さんから受け継いだ唯一のものかもしれないのだから。

俺は長い間何に傷ついていたのか。

何故自分の容姿が人と違う事を恐れていたのか。

その根本的な部分が分からなくなっていた。

これが暁の言った忘れると言う意味だったんだろうか。


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