スイーツな関係
こ、この声は……。


「谷本シェフ」


樋口さんが声の持ち主の名前を呼んだ。


その途端、私の心臓はバクバクと暴れ始めた。
おそるおそる振り返ると、仕事着のシェフコートではなく紺のジャケットとジーンズ姿の彼がいた。


休憩時間にどこかへ出掛ける所なのだろうか。


「あぁ、すみません。お客様でしたね」


私を見て彼は無表情にその場を立ち去ろうとした。


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