スイーツな関係
涙を見せる女の常套手段は好きではないが、彼女の必死に泣き顔を見られないようにしていた姿を見て俺の中の何かが変わった。


彼女のことをもっと知りたいと思った。


******


「あれ? シェフ、早いですねー」


更衣室でシェフコートに着替え終わった時、淳平が入って来た。
淳平の呑気そうな顔を見て、麗香の別れ際の言葉を思い出した。


そうだ、こいつのせいで俺の服の趣味は救いようがないと思われたんだ。


「淳平、お前の服の趣味って悪かったんだな」


淳平を見れば、Tシャツは俺が昨日着たような大きな絵柄の入ったものを着ている。
下がジーンズなのが幸いで、まあ普通に見える。

そういえば、あのタンスにはジーンズが一本も入っていなかったな。


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