スイーツな関係
「あ、あのお返事は後でさせていただきます」


彼にだけ聞こえるように小さく言うと、一瞬悲しそうに瞬きをしたのち笑みを浮かべて「わかりました」と八木社長は言った。


訳が分からないプロポーズ。


輪になっていた人々が興味を無くし、散らばって再び歓談し始める。


「指輪は手元に持っていてくれますよね?」

「い、いいえ。あまりにも高価なので無くしたら大変です。八木社長が持っていてください」
「そうですか……わかりました」


受け取ってもらえるとでも思っていたのだろうか?
それほど親しくないのに……。


「あの、私は……これで失礼します」

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