スイーツな関係
テーブルに近づくにつれて、麗香は何も手をつけていないことがわかり俺の眉間に皺が寄る。


麗香はサーモンやテリーヌの前菜の皿をじっと見ていた。


「あれ? まだ手をつけていなかったんだ」


俺が声をかけると、麗香はビクッと肩を震わせ顔を上げた。


どこの世界を漂っていたんだよ。と聞きたくなるのをやめて笑みを浮かべた。


「遥人、いったい……」
「俺が作った料理を食べさせたかったんだ」
「でも、こんなテーブルじゃなくて良かったのに……」


麗香は窓際の席のことを言った。


「大丈夫。君はこの店のお得意様だろう?」


そう言うと、困ったような顔になったがフッと笑みが戻って来た。


彼女は本当にキレイに笑う。


< 205 / 512 >

この作品をシェア

pagetop