スイーツな関係
再び抱き上げられてエレベーターに向かう。


彼の端正な顔が近くなり、また私の心臓はバクバクと暴れ始めた。
長い睫毛、柔らかく跳ねた髪の毛、触れたら絶対に柔らかそう。
仕事中だから香水はつけておらず微かに石鹸の香りがする。
彼がつけるのはどんなフレグランスだろう。
甘いムスク? それとも爽やかなアクアマリン系?


想像力を張り巡らせていると、エレベーターは5階に到着した。
そのまま玄関の前まで運ばれ下ろされる。


「カギは?」
「あ! は、はいっ」


バッグを開けてカギを探していると、手が滑り床にバッグが落ちて中身が散らばってしまった。


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