スイーツな関係
『で、でも今日は――』
「どこにいる? 終わる頃、迎えに行くよ」


麗香は何度かデートした店の名前を言ったその時、彼女の慌てた声が聞こえてきた。


『麻美っ!』

それから、麗香ではない女の子の声が聞こえてきた。


『いいから、いいから。あ、すみません、お電話代わりました。短大の時の友人で麻美と言います。ぜひ、来てくださいね。お待ちしていまーす』


愛想の良い声が楽しげに響く。
俺はこれから行くと言い、電話を切った。


テーブルに無造作に置いていた車のキーを手にすると、地下駐車場に向かった。


今日は酒を飲むつもりはなかった。
麗香に大事な話をするのだから。


麗香にどう思われるのだろうかと考えると肩に力が入り、ステアリングを握る俺に緊張が走った。


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