スイーツな関係
小さなお店の中へ入ると、食欲をそそるラーメンの匂いと、何かを炒めているのか中華鍋の音がした。


中は意外にも混んでいた。
美味しいお店なのかもしれない。


2人掛けの壁際のテーブルに腰を下ろすと、ちょっと乱暴にお水が運ばれてきた。


「食べ終わったら指輪を買いに行こう」
「指輪……?」
「エンゲージリングだよ」


エンゲージリング――婚約……。


「遥人、今はいらないわ」
「いらない?」
「欲しいけど、今はいらない。遥人の夢が叶った時までお預けにしたいの」
「麗香……」


遥人は納得がいかない顔をしている。


「……その時に欲しいの」
「それではお父さんとの約束が違う」


< 407 / 512 >

この作品をシェア

pagetop