結婚3年目の夢の実現と現実(改)
と、言ってしまった。

 ただ、2人きりの場で言う勇気がないのが幸いだった。

 隣から先輩が、

「人の幸せ壊しちゃダメだよ」

と、面白そうに笑いかけてくれる。

「……」

 彼は仕事の片手間のせいか、ディスプレイに目を落としつつ、笑うとも笑わないともとれない微妙な表情でいる。

 しまった、言葉を間違えた、と即後悔しつつ、

「結婚やめたら、なんて、誰も言ってくれないよ?」

といつものように茶化した。

「それはそうかもしれませんね、そんなこと、初めて言われましたよ」

 やはり笑顔が微妙だ。

 いくら仲が良いといえど、このセリフはさすがになかったかもしれない。

 逆に自分が言われたことを想像すればどうだろう。

 酷い冗談だなと思うに違いない。

 その晩、ずっと後悔した。

 だけど、いづれ言ってしまう一言であるような気はした。

 それくらい、本音に近い言葉だった。

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