第40章
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 連日、ずっと藤井のお抱え運転手をしていた。


 忙しそうだ。


 俺も政治家の仕事の大変さが分かる。


 元は岩原の運転手をやっていたからだった。


 合間の時間にスマホを取り出して見ながら、絶えず情報を仕入れ続ける。


 何かと慌しい。


 車を出すのだが、あちこちで予定がある藤井にほぼ一日中張り付いている。 


 ハンドルを握り続けていた。


 俺も倦怠を覚える。


 正月が明けて、まだ幾分寒かったのだが、都内も気温が上がる日があった。


 ずっと藤井は後部座席で持っているノートパソコンのキーを叩き続けている。


 岩原と何も変わらなかった。
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