おそらく現段階でも、何でも反対にはならないだろう。


 国民にとっては喫緊で、成立させる必要のある一定の法案に関しては、与野党で分かち合うはずだ。


 俺も藤井が敵前逃亡し、古巣に戻るのを情けなく思っていた。


 と同時に、岩原にまた仕えてもいいと感じている。


 しかも秘書を任されるという。


 異例の大抜擢だろう。


 俺もここらで一つ、旗を揚げてもいいと思っていた。


 もちろん、単なるお抱え運転手から秘書になるのだから、労苦はあると思われたのだが……。


 それに秘書ならそれ相応に、肝心の政策の勉強も必要なのだし……。


 即答は出来ない。


 ただ、一言「考えておきます」と言った。


 短兵急に決まることじゃないからだ。
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