だが、なぜかしら事態は最悪となる。


 品川の街のあちこちで、内田は俺を待ち伏せしているようだった。


 ダガーで刺すつもりで。


 俺を刺して何の得になるのかは分からなかったのだが、どうやらヤツの思い通りになりそうだった。


 おそらく、そういった類の人間だろう。


 あの女は。


 それに紛れもなく逆恨みである。


 ずっと警戒していたのだが、それも無駄に終わりそうだ。


 やはり会社を首になった腹いせで、俺を刺すのだろうと思う。


 街を歩きながらも、付けられていると気になったときは、なるだけ速足で歩いた。


 怖いのは十分承知で。


< 322 / 328 >

この作品をシェア

pagetop