政治家にはヤクザのような側面がある。


 特に大物になればなるほど、金や地位、名誉、権力などを持つようになって、一般人とはまるで違うようになるのだ。


 それに岩原の政治における師匠は、父宗二ももちろんだったが、北海道において連続当選十二回を重ねた亡き衆院議員、鎌岡顕(けん)だった。


 ドブ板選挙の手法や政治資金の管理方法、そして新民党内において権勢を振るっていた過去の栄誉も全て鎌岡あってのことである。


 確かに汚いと思っていた。


 だが、これが後部座席に座っている男の現実なのである。


 政治への執着心とあくなき権力欲――、これが今の岩原にはあった。


 川浪や党執行部と喧嘩し、出ていったのである。


 何も新民党を出なくても、党に居続ければやがては総理になるチャンスもあったのに、と思っていたのだが……。


 それにシンパの人間たちに対するコバンザメぶりはいかがなものかと感じている。


 何でも金で済ますような悪代官のような政治家は長続きしない。
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