第14章
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 永田町にある議員会館内で、岩原はまた同志の議員たちを集めて、集会を開いたようだった。


 俺もずっと外で待たされる。


 この近辺は夜になると、人通りが少なくなるのだ。


 官庁街だからである。


 役所が密集する地域は夜間、人口が少なく、ほとんどガラガラ状態だ。


 その日の午後八時半頃、岩原が車へと戻ってきた。


「今日は疲れた。自宅に戻る」


「分かりました」


 俺もこの男がやり手であるのは知っていたし、朝から晩まで働き続ける政治家は大変な仕事であるということも認識していたのである。


 エンジンを掛け、アクセルを踏み込み、走らせた。


 何かと明るい東京の夜道を走り抜け、いつも通り、岩原を自宅へと送り届ける。
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