そばにいたい。




ーーーバタンッ
ーーーー……


しばらく何をするでもなくぼーっとしていると、遠くで車のドアの閉まる音と人の話す声が聞こえた。



帰ってきたのか。
今日はほんとに早かったな。



そんなことを考えながら部屋を出て階段を降りる。


拓真にも聞こえたのか、律儀に玄関にたってまっている。



…あれ?なんだろ。



話し声がふたつじゃないな。
もうひとり、いる…?



そうおもったときに玄関のドアがあく



ーーーカチャ…



「ただいま」「ただいま」「…」




「…」「…おかえり」



驚いて声の出ない拓真を横目で見て俺は答えた









玄関のドアをあけて、そこに立っていたのは、少し濡れた黒い髪を腰までのばした小さな女の子だった。
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