へくせん・けっせる

公園で

緑風荘から歩いて五分くらいの小さな公園。

秋奈っちと辿り着くと、そこには数人の先客がいた。

「誰か知ってる子いる?」

「んーと……いないなぁ」

そっか、となんだか安心したような感じで、私はすべり台と砂場の所で遊ぶ三人の子供たちを見た。

んー……やっぱり秋奈っちにでも、こんな気持ちになるんだなぁ。

友達と二人で話していた時に、知らない人がやって来て一緒に話していた友達と仲良さげに、自分を取り残して話し始める。

そんな時に感じる、あの嫌な感覚。

それは、その人が友達以上だという証明だろう。

だから、私と秋奈っちは友達なんだ。

私は、実は曖昧に感じていたソレを、現在になって確かなものに出来た。

「? 七姉、なに笑ってるの?」

秋奈っちが不思議そうにワイシャツの裾を掴みながら言った。

どうやら自然と笑みがこぼれていたらしい。

「えへへ。秘密ー」

「えー? なんかずるいよー!」

そう言って、秋奈っちは怒ったように頬を片方膨らませた。

「まあまあ、ブランコでもどうかなお嬢さん?」

私はブランコを指差して、秋奈っちにもう片方の手を差し出した。

「あ! うん、乗るー!」

秋奈っちは態度を一変させて、私の手を握った。

「ゴー!」

「うわぁっ!? ちょっと秋奈っち引っ張らないでー!」

突然走り出す秋奈っちについて行けずに転びそうになった。

まったく……秋奈っちは元気だなぁ。

秋奈っちの、赤と白の子供らしいTシャツに、動き安そうな黒いズボンが秋奈っちのイメージにとても合っていた。

「よぅし。私が後ろから押してやろう!」

「わぁーい! やったー!」

小さくて元気な大切な友達のために。

私はそれから精一杯ブランコを押してあげた。

暇な時間を楽しい時間にしてくれたお礼代わりに。

秋奈っちがブランコに飽きるまで……。

三十分でギブアップした私だった。


ちなみに、翌日は筋肉痛だった。



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