死蜂
窓から見えるのは、対岸の港町の灯り。

波は穏やかだが、この海域には鮫も結構生息しているらしい。

ビーチの波打ち際で遊ぶ分にはいいが、遠泳には適さないと美晴が言っていた。

そう考えると、この別荘地は孤島という事になる。

プライベートビーチといえば聞こえはいいが、数日後に来る港町からの船がない限り、葵達は地力でこの島から出られないという事だ。

とはいえ、島には葵達の他にこの別荘を管理している現地人も多くいるし、ちょっとした医療器具や一月分の食糧も備蓄してある。

余程の事がない限り、困った事態になる事はなかった。

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