スイートスキャンダル
「返して!」


「もちろん返しますよ、遥さんが新幹線に乗ってくれた後でね」


「へっ!?」


「ほら、早くしないと新幹線出ちゃいますよ」


何としてでも仕事の書類を取り返したいあたしに与えられた方法は、ニッコリと微笑んで歩き出した柊君を追い掛ける事だけ。


「ちょっと、柊君!」


バッグを取り返したら、ソッコーで帰ってやるんだから!


そう決意して改札口を潜り抜け、人混みの中で頭一つ出ている柊君を追い掛ける。


「もうっ、何でこんな事に……」


不満を漏らしながらやっとの事でホームに向かった柊君に追い付くと、彼は意味深な笑みを浮かべてから新幹線に乗り込んでしまった。


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