スイートスキャンダル
「あれ?急に大胆になったね」


柊君は驚いたのか、あたしの髪を撫でていた手の動きをほんの一瞬だけ止めた後で、冗談めかすようにフッと笑った。


「でも、あんまり俺を煽ると、本当にどうなっても知らないからね」


続けて低く囁かれた言葉に、思わず体が強張る。


「お、お手柔らかにお願いします……」


ビクビクしながら小さく訴えれば、柊君が悩ましげな笑みを浮かべた。


「……努力します」


「今、変な間があった気がするんだけど……」


訝しげに柊君を見上げると、彼は苦笑したままあたしの唇にキスを落とした。


「ほら、もう黙って」


一度離れた唇が再び重なり合ったのは、それからほんの数秒後の事だった。


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