スイートスキャンダル
「スキャンダルって言うと、大袈裟に聞こえるかもしれないけど……。真面目な遥にとって、ほとんど面識のない男と二晩も過ごすなんて、“人生のスキャンダル”同然じゃない?」


「確かにね……」


そのスキャンダルを計画した張本人がそんな言い方をするのはおかしい気もしたけど、どこか絶妙に思える言い回しに何だか納得してしまった。


「でも……」


鏡越しに有紀に笑みを向けて口を開いた直後、ドアがノックされた。


「はい」


「遥、準備出来た?」


ドアに視線を遣りながら返事をすると、シルバーグレーのタキシードに身を包んだ柊君が入って来た。


「綺麗だ」


彼はすぐにあたしを見ながら微笑んで、恥ずかしげも無く言った。


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