スイートスキャンダル
「キャッ……!」


咄嗟の事に驚いて、更にはグラリと揺れた体が安定感を求めた事で、無意識に柊君の首に手を回してしまった。


そんなあたしを見た彼は、クスリと笑ってから耳元に唇を寄せて来た。


「可愛い」


低く零された囁きが、耳をスッと撫でる。


「……っ!」


それはあまりにも刺激的過ぎて、思わず両腕に力を込めてしまった。


すると、またしても柊君は楽しげな笑い声を落とし、からかうような笑みを浮かべてあたしを見た。


悪戯な表情を前に、心臓が跳ね上がる。


「お、降ろしてよっ……!」


慌てて両手を離して訴えると、意外にも柊君はすぐに言う通りにしてくれた。


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