スイートスキャンダル
「どこに行きますか?」


旅館を出てすぐに、柊君が笑顔で訊いて来た。


その表情を見て思い出したのは、見送ってくれた女将さん達にも笑みを見せた彼に何人かのスタッフが顔を赤らめていた事…。


もちろん、柊君は人として普通に接しただけだって事はわかっているけど、何となくおもしろくない光景だった。


「……別にどこでも」


そんな理不尽な気持ちから無愛想にしていると、彼が微苦笑を零した。


「遥さん、連休が取れたのって久しぶりなんでしょう?だったら、せっかくの夏休みなんだし、楽しまないと損ですよ?」


その上、どこか窘めるような態度を見せる柊君に、思わずムッとしてしまった。


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