スイートスキャンダル
「柊君……」


目を小さく見開いたあたしに、柊君が柔らかい笑みを向ける。


その直後、彼が困ったように微笑んで、あたしの毛先に手を伸ばした。


「遥さん、髪乾かさなかったんですか?大浴場の脱衣所にも、ドライヤーがあったでしょう?」


「え?」


その時、首筋に微かに触れた柊君の指先がひんやりとしていて、思わず瞬きをしてしまう。


もしかして、ずっと待っててくれたの……?


「遥さん?」


「あ、ちょっと急いでて……」


「別に急がなくても良かったのに……。ここ、よくクーラーが効いてるから、早く中に入りましょう」


あたしの気持ちを余所に、柊君がフワリと微笑んだ。


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